No.102 (ウィーン体制)  : 

「ウィーン体制の目的と手段とは何か?」

ウィーン体制はナポレオン戦争で混乱したヨーロッパの再建を目的とし、革
命と戦争を防止することを目指した。その手段は仏外相タレーランが唱えた
正統主義に代表されるような、自由主義とナショナリズム(国民主義・民族
主義)を抑圧する保守反動や、大国主義といった大国の利害中心の勢力均衡
策であった。その結果として、神聖同盟、四国同盟といった国際組織も生ま
れた。

<評価の観点>
関心・意欲・態度:

ナポレオン戦争後のヨーロッパの国際秩序ウィーン体制について、第一次大
戦後のヴェルサイユ体制やワシントン体制、第二次大戦後のヤルタ体制と比
較することにより、大きな関心を持ちながら学習に臨んでいる。

思考・判断:

冷戦体制としてのヤルタ体制崩壊後、新しい国際秩序を模索している現在の
国際社会の課題を視野に入れながら、歴史のケース・スタディとしてのウィ
ーン体制について考察している。

資料活用の技能・表現:
ウィーン議定書に基づくヨーロッパ地図を用いて、「フランス革命前の国境
に戻す」とする正統主義の一部実現や、ネーデルラント南部という「飛び地」
を放棄したオーストリアと、ライン地方という「飛び地」を獲得したプロイ
センの領土変更の違い等について確認している。

知識・理解:
ヨーロッパの再建と、戦争や革命の防止を目的としたウィーン体制の意義や、
その手段としてナショナリズムと自由主義を抑圧する道を選んだことの限界
について、基本的な知識を身につけている。